グリーンランたん

 長いこと放置をしていたらば、必ずやこの日記の存在を忘れるであろうからとりあえず何かを一度書いておけという本能の命ずるままに、映画グリーンランタンを観て何かを書くことにした。

 果たしてこの文章を読む人間が、書いた本人である僕以外に存在するのかどうかは甚だ疑問ではあるが、一応注意書きをしておこうと思う。

 このブログは、忘れるほど後の世に自分で読み返し、「こんな事もあった」とノスタルジーの涙を流しながら死ぬために書いている日記のようなものであるからして、感想を述べるコンテンツの新旧を問わず、基本的に読者に対する忖度―――例えば、作品のネタバレに対する配慮であるなど―――を一切行っていない。

 表題にない作品の核心部分もサラリと漏らす可能性が十二分にあるので、何に対するネタバレも踏みたくないという方は、ここらでブラウザバックをお薦めしたい。

 

 と、虚空に話しかけて本題に戻ることとする。

 

 グリーンランタンは今を遡ること7年前、2011年の映画である。

 なぜそんな前の映画を今更観てみる気になったのかというと、先日このグリーンランタンの主演であるライアン・レイノルズの新作である、デッドプール2を観たからである。

 世間一般の評価が「巨額の金をかけた割にものすごいスベリ方をしたがっかり大作」であるところのグリーンランタンを、このデッドプールという作品が間接的に直接的にあらゆる手で弄り倒す描写(最終的にはタイムマシンで過去に戻り、グリーンランタンの脚本を持って「僕も大作に出演できるぞ」と喜ぶライアン・レイノルズ本人をデッドプールライアン・レイノルズ)が射殺する)があり、「それほどまでに?」と逆に気になってしまった、というのが興味のきっかけなのだ。

 まんまと術中、という気がしないでもないが、まあ会員になっているamazonプライムビデオで無料で観れるというし、世間一般の評価などは得てして当てにならない(興行収入で大ゴケしたのは事実であるが)からして、意外に面白いのかもしれないぞなどと考えながら、ヘッドホンをつけ、再生ボタンをクリックした。

 

 結論から先に申し上げると―――一番コメントに困る類の映画だった。

 

 取り立ててCGが素晴らしいわけでもなく、かといってネタにできるほど拙すぎるわけでもなく(でもあのネックレスはどうかと思うな)、脚本も良くも悪くも王道で、

 邪悪との戦いで傷つき満身創痍となった正義の味方が地球にやってきて、命尽きる前に現地の若者に力を譲渡する。若者は突然得た力と襲い来る敵に戸惑い恐怖するものの、愛と勇気で侵略者を打倒する……というまあヒーロー物の教科書に載せたい話運びで、特に予想外の出来事や演出があるでもなく全てが予想の埒内で始まりそして終わった。

 本当に何も心に残るもののない映画だったが、アクション大作というのは得てしてそういうものなのかもしれないな……(暴論)よく考えてみると例えば比較的最近に観たトリプルX再起動のような佳作であっても、「すごーい!たのしー!」以外の感想は出てこなかったし、すでに大凡の内容は忘れてしまっている。

 「巨額の金をかけた割にものすごいスベリ方をしたがっかり大作」という世間一般の評価に「せやな!」と力強く頷けるようになった分だけ糧になったと前向きに捉えよう。

 近代クソ映画界の雄、デビルマンなどと比べると、怒りが沸くとかいっそ笑いがこみ上げてくるというような大きな感情の動きはないものの、鑑賞後にはうん、映画を観たなという腹半分くらいの満足度が得られる作品だと思います。食べ物で例えるなら、ファストフード。問題は原価が満腹至極フルコォスであるということです。

 だらだらと長ったらしいわりに一切中身のないこの文章の結論はといえば、日記を書くために映画を観るなどという事はしない方がいいということ。そして、さして面白くなかった映画の感想を述べる際にいちいち「デビルマンよりマシ」といってしまうのは簡単だが、何かを評価するために他の何かを貶めることほどかっこわるい事もないぞということです。今後気をつけます。

 おわり。